特集 細胞核―構造と機能
5.染色体
染色体分配における姉妹染色分体接着の役割
進 寛明
1
,
渡邊 嘉典
1
Hiroaki Susumu
1
,
Yoshinori Watanabe
1
1東京大学 分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野
pp.450-453
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101206
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すべての真核細胞は自身の染色体を複製することで遺伝情報を倍加して,細胞分裂の際にそれを二つの娘細胞に均等に分配することで自己複製を完結する。この染色体の均等分配に誤りが生じ,娘細胞の染色体数に異常が起こった場合,細胞死やがん化などが引き起こされる。精子や卵子のような配偶子形成にみられる減数分裂において染色体分配に異常が生じた場合は,流産,ダウン症やクラインフェルター症などの先天性疾患を引き起こす。これらのことから,染色体分配を制御する分子メカニズムの研究は,基礎生物学的見地だけでなく医学的見地からも重要である。本稿では,染色体分配における姉妹染色分体の接着の機能・意義について,セントロメア局在因子シュゴシンによる接着保護機構を中心に最新の知見を紹介する。
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