Ex Laboratorio Clinico・15
LDH H subunit variantとの出会い
嵯峨 実枝子
1
1慶応義塾大学病院中検臨床化学
pp.289-293
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914694
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はじめに
1971年10月我々の検査室でLDHアイソザイムを日常検査に取り入れて以来7万余の検体について検査を行い,出現したLDHアノマリーは100を越し,その出現頻度は約0.1%である.電気泳動によって見いだされるLDH異常は泳動後染色されたザイモグラムを観察することにより容易に見いだされる.そのLDH異常がその試料特有のものなのか,あるいは技術上のものなのかを判別する必要がある.そして見いだされたLDH異常の原因についてどのように検索してゆくかが問題となる.その中の多くは既に報告されているものと類似しており,また原因の分かっていないものや,まったく新しいものもあるだろう.
1971年北村らの見いだしたLDH H subunit欠損及び1972年長嶺のLDHアノマリーの報告は,その後我々がLDH異常を検索してゆくうえで身近な例として大きな指針となった.ここで述べるLDH H subunit variantも日常検査のなかで他のLDHアノマリーと同じように偶然現れたものである.
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