Japanese
English
特集 摂食制御の分子過程
メラニン凝集ホルモン-MCH
Melanin-concentrating hormone
長崎 弘
1
,
斎藤 祐見子
2
Hiroshi Nagasaki
1
,
Yumiko Saito
2
1名古屋大学大学院 医学系研究科 代謝病態学寄附講座
2広島大学大学院 総合科学研究科 行動科学講座
pp.37-43
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101104
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MCH(melanin-concentrating hormone;MCH)は1983年にサケ脳下垂体から抽出された神経ペプチドである1)。硬骨魚類ではMCHは色素細胞中のメラニン顆粒の凝集を引き起こし,皮膚体色変化を引き起こす。1989年にはラット脳から哺乳類MCHが単離された2)。その受容体は長い間不明であったが,1999年に脳に高発現し,ソマトスタチン受容体と全体で40%のホモロジーを持つオーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)がMCHの受容体であることが報告された3,4)。受容体同定により選択的アンタゴニストの開発が可能となり,現在ではMCH-MCH受容体系は摂食調節・エネルギー代謝機構に深く関わることが明らかになりつつある。さらに,うつ不安,覚醒剤における嗜癖形成,睡眠,体温調節そして末梢においてはアレルギーや炎症との関連も注目されている。本稿では,MCH研究において最も研究が進んでいる摂食とエネルギー代謝調節を中心に,MCHニューロンの入出力系についての知見を交えながら概説する。
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