Japanese
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綜説
皮膚メラニン機構について
Skin Melanin Unit
清寺 真
1
Makoto SEIJI
1
1東北大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
pp.687-696
発行日 1979年8月1日
Published Date 1979/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202098
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1961年,我々はメラノサイト内でのメラニン生成機構について,メラノソーム(Melanosome con—cept)1)という仮説を提案した.一方共同研究者であったDrs. Pathak, Szaboなどと日光照射後の皮膚色素の増強機構について仕事をしている間に,ヒトの皮膚の色がいろいろと変化する際には,単にメラノサイトでのメラニン生成のみでなく,皮膚全体のメラニン代謝機構について考慮しなければならないことに気がついた.すなわち日光照射により皮膚の色が濃くなった時,皮膚には樹枝状突起のよく発達したメラノサイトの出現,活性メラノサイトの増加,表皮基底並びに有棘細胞のメラニン含有量の増加などの変化が起こっている.特に日焼けによる褐色の色素沈着ではその濃淡は表皮細胞に含まれるメラニンの量に左右されることが明らかとなった.
1963年Fitzpatrickはこの表皮内メラニン代謝の機構をepidermal melanin unit2)とよんだ.近年私は,皮膚におけるメラニンの代謝には病的状態に見られる色素失調状態に出現するスレート色の色素沈着の機序:メラニンの真皮への移行,消失,を加え皮膚メラニン機構(skin melaninunit)3)と一括するのがよいと考えている.
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