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皮膚のメラニン細胞melanocytesは多数の突起を出して,木の枝のように見えるので,樹状細胞dendritic cellsの中に入れられている。この細胞の外形は神経細胞neuronsに非常によく似ているばかりでなく,発生学的に神経堤neural crestに由来することが知られている1)。したがってメラニン(産生)細胞こそ,最も古くから知られたパラニューロンの代表者であるといっても言い過ぎではあるまい。
さらにメラニンは中枢神経の一部にも出現するのであって,眼の網膜に接する色素上皮は,皮膚のメラニン細胞と同一の微細構造を示し2),脳の一部から発生して来るのであるが,メラニン色素の生成と保持をその機能としている。また中脳の黒質substantia nigraや菱脳の青斑locus coeruleusの神経細胞は,メラニンを含むので,この部分が肉眼的に黒色あるいは青色に見えるのであるという。この神経細胞のメラニン(いわゆるニューロメラニン)は,微細構造上,皮膚のメラニン細胞や眼の色素上皮細胞のメラニンとは違った形態を持つが3),化学的には類似の物質であるらしい。このように,神経細胞あるいは,それに由来する色素上皮細胞にもメラニンが出現することは,皮膚のメラニン細胞が神経性のメラニン産生細胞と類似の機能を有し,ニューロンに近縁な細胞種であるパラニューロンの1種であることを,強く示唆するところである。
Abstract
Melanin-producing cells in the skin known as melanocytes appear in the basal layer of the epidermis, hair bulb and dermis. They are derived from neural crest and structurally resemble the cells of the retinal pigment epithelium developed from the brain tissue. Both of the cutaneous and retinal pigment cells may be classified in paraneurons and produce granules named premelanosomes which grow into melano-somes. The detailed mechanism of formation of premelanosomes as well as the production of tyrosinase which is an important enzyme for melanogenesis is discussed.
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