Japanese
English
特集 摂食制御の分子過程
レプチンの基礎から臨床応用まで
Leptin:from bench to bedside
日下部 徹
1
,
海老原 健
1
,
中尾 一和
1
Toru Kusakabe
1
,
Ken Ebihara
1
,
Kazuwa Nakao
1
1京都大学大学院 医学研究科 内分泌代謝内科
pp.4-10
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101099
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1994年,Friedmanらによって遺伝性肥満ob/obマウスの原因遺伝子が同定され,その遺伝子産物はギリシャ語で「やせる」を意味するleptosにちなんでレプチン(leptin)と命名された1)。レプチンは脂肪組織から分泌され,視床下部に発現するレプチン受容体に作用することで強力な摂食抑制とエネルギー消費亢進をもたらし体重を減少させる。視床下部と脂肪組織は,レプチンを介して体重を一定に保つフィードバックループを形成していると考えられる(図1)。ob/obマウスでは,レプチン遺伝子の点突然変異により正常に機能するレプチンが産生されず,著しい肥満を呈している。
ob/obマウスの表現型の解析,レプチン投与の実験,われわれが作製したレプチントランスジェニックマウスの解析などから,レプチンは摂食抑制やエネルギー消費亢進による体重減少作用だけではなく,糖脂質代謝亢進作用,性腺機能調節作用,血圧調節作用,免疫調節作用など多彩な生理作用を有することが明らかになってきている。また,ヒトにおけるレプチンおよびレプチン受容体の遺伝子異常による肥満症の発見により,げっ歯類だけではなくヒトにおいても,レプチンがエネルギー調節において極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった2,3)。
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