特集 シナプスをめぐるシグナリング
1.受容体
逆行性シナプス伝達における内因性カンナビノイドシグナリングの分子機構
橋本谷 祐輝
1
,
狩野 方伸
1
Yuki Hashimotodani
1
,
Masanobu Kano
1
1東京大学大学院 医学系研究科 神経生理学教室
pp.384-385
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101016
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カンナビノイド受容体
カンナビノイド受容体は7回膜貫通型のGi/oタンパク質共役型受容体で,CB1とCB2の2種類がある。CB1は中枢神経系に,CB2は免疫系に多く発現している。マリファナ吸引による幻覚,鎮痛,運動障害,食欲増進,記憶障害などの様々な中枢作用は,主として脳のCB1受容体を介する。CB1受容体は脳内に広く分布しており,特に大脳皮質,海馬,扁桃体,大脳基底核,視床,小脳などに多い1)。興奮性,抑制性のどちらのニューロンにもCB1受容体は発現するが,その発現パターンは脳部位によって異なる。例えば海馬では,一部の抑制性ニューロンに強く発現しており,これに比べて興奮性ニューロンには一様に低く発現している。海馬の抑制性ニューロンのうちでも,パルブアルブミン陽性バスケット細胞にはCB1受容体が存在せず,コレシストキニン陽性バスケット細胞に強く発現するといった,極めて選択的な発現パターンを示す。ニューロン内では,神経終末および軸索に豊富に局在し,細胞体や樹状突起の発現は極めて低い。神経終末でのCB1受容体の活性化はGi/oタンパク質を介して電位依存性Ca2+チャネルを抑制し神経伝達物質の放出を減少させる。
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