特集 神経学における最近の研究
<生理>
シナプス電位—発生の分子機構
竹内 昭
1
1順天堂大学医学部生理学教室
pp.658-659
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904882
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活動電位が神経末端に達すると,神経末端の脱分極により膜のCa透過性が増大する。その結果Caは神経内部に流入し,伝達物質は神経の膜を通ってシナプス間隙に遊離される。この際,大部分のシナプスでは,伝達物質が何分子か一団となって遊離される(素量,quantum)。脊椎動物の神経筋接合部では素量は6,000〜10,000程度のアセチルコリン分子からなると考えられている1)。このようにして遊離された伝達物質は細胞表面に存在するレセプターと結合してシナプス電位を生ずる。このようなシナプス電位発生の模式図はシナプスで一般に成り立つと考えられるが,現在のところ上記の過程が最も詳しく調べられているのは脊椎動物の神経筋接合部である。
伝達物質がレセプターと結合すると,通常数ミリ秒以内に完了するシナプス後膜のイオン透過性の増加が起こる。このイオン透過性に関し過去数年に見出された新しい事実について概略を記すことにする。
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