Japanese
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特集 糖鎖のかかわる病気:発症機構,診断,治療に向けて
GPIアンカー異常症
GPI deficiency
村上 良子
1
,
木下 タロウ
1
Yoshiko Murakami
1
,
Taroh Kinoshita
1
1大阪大学 微生物病研究所 免疫不全疾患研究分野
pp.148-153
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100977
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GPIアンカー欠損症として古くから知られている発作性夜間血色素尿症(PNH)は,溶血性貧血,骨髄不全,深部静脈血栓症を3主徴とし,造血幹細胞のPIG-A遺伝子の後天的な突然変異によっておこる疾患である。一方,最近主症状として門脈血栓症とてんかん発作を呈し,劣性遺伝形式をもつ先天性GPI欠損症の2家系が見つかり,共にGPI生合成に必須な遺伝子PIG-Mのプロモーター部分の同じ変異によることがわかった1)。本総説では両者についてその発症機序を概説する。それとともに,まだ疾患としては見つかっていないが,GPIアンカーの脂質および糖鎖部分に異常を来す遺伝子変異が細胞レベルで明らかになっているので,その生理的意義と将来GPI異常症として発見される可能性についても考察する。
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