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●タキキニンペプチドとその受容体
タキキニンペプチドとはサブスタンスP(SP)を代表とするペプチドの総称である。SPは11個のアミノ酸からなるタキキニンペプチドで,そのアミノ酸配列はArg-Pro-Lys-Pro-Gln-Gln-Phe-Phe-Gly-Leu-Met-NH2であることが1971年に報告された。このタキキニンペプチドの構造的特徴は,C末端領域にPhe-X-Gly-Leu-Metのアミノ酸配列を有し,C末端がアミド化されNH2となっていることである。哺乳類におけるタキキニンペプチドとしては,1983年に新たにニューロキニンA(NKA)およびニューロキニンB(NKB)が報告され,合計3種類のタキキニンペプチドが知られようになった。NKAとNKBは10個のアミノ酸からなり,両者のC末端領域のXの位置にはPheの代わりにValが存在することが特徴である。従って,NKAとNKBの機能的差異はN末端領域に存在する5個のアミノ酸に由来といえる。近年,これら三つのペプチドを産生する遺伝子が同定され,SPとNKAはTAC1(PPTA)遺伝子にコードされ,NKBはTAC3(PPTB)遺伝子にコードされていることが明らかとなった。また,これら三つのペプチドは3種類の膜7回貫通代謝型受容体に結合し,SPはニューロキニン1受容体(NK1R),NKAはニューロキニン2受容体(NK2R),NKBはニューロキニン3受容体(NK3R)に対して高い親和性を示す。従って,哺乳動物においては3種類のタキキニンペプチドが存在し,それぞれのペプチドに対応する異なる受容体が存在し,ペプチドと受容体が1対1の関係にあることを示している。
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