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セクレチンは27アミノ酸からなるペプチドで,中心的な機能は膵外分泌促進作用である。セクレチンは胃液や脂肪酸の刺激により十二指腸から血中に分泌され,膵の受容体に結合し,主に膵管上皮細胞からの重炭酸,水分,電解質などを含む膵液の分泌を促進し,胃酸を中和させる。また,膵の成長にも関与している。セクレチン受容体は膵臓に多く発現しているが,膵以外にも,胃,腎臓,脳など広範囲に発現していることが確認されており,膵液分泌以外にも多様な作用を有すると考えられる。
セクレチン受容体は7回膜貫通型受容体で,type Ⅱ G-protein-coupled receptor familyに属している。このファミリーには,VIP(vasoactive intestinal peptide)受容体(VPAC1とVPAC2),PACAP(pituitary adenylyl cyclase-activating peptides)受容体(PAC1),グルカゴン受容体およびglucagon-like peptide受容体(GLP1RとGLP2R)などが属している。セクレチンはこれらの受容体にも低親和性であるが結合して作用し,また,他の受容体のリガンド/ホルモンはセクレチン受容体にも結合する。セクレチン受容体遺伝子は染色体上2q14.1に局在し,全長84,110bp,13エクソンからなり,cDNAは1,323bp,転写産物は440aa,50-kDaである。主要な作用経路は,Gs heteromeric G-proteinとadenylate cyclaseを活性化し,cyclic AMPを上昇させ,リン酸化により蛋白活性を調節している。他にも,この受容体ファミリーは,ホスホリパーゼC活性化,細胞内Caイオン分泌,mitogen-activated protein(MAP)kinase活性化などの作用も示す。
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