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EP2受容体作動薬
相原 一
1
1東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学講座眼科学教授
pp.54-60
発行日 2019年3月14日
Published Date 2019/3/14
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.57_0054-0060
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2018年9月に世界で初めてプロスタノイド受容体EP2作動薬である0.002%オミデネパグイソプロピル点眼液(エイベリス®点眼液0.002%,参天製薬©)が承認されるに至った.1日1回の点眼で初めてラタノプロストとの直接比較試験において眼圧下降効果が非劣性となった点眼液である.1999年にわが国で0.005%ラタノプロスト点眼液(キサラタン®点眼液0.005%,ファイザー©)が発売されて以来20年,既存のβ遮断薬も含め多くの薬剤が開発されたが,ラタノプロストに比する眼圧下降効果を呈した薬剤はなかった.現在の緑内障眼圧下降薬の問題点を踏まえた開発目標は,ラタノプロストと比する眼圧下降効果を有し,1日1回点眼で終日にわたり眼圧下降効果が持続し,効果に個人差が少なく,他剤との併用が可能であることと,当然ながら副作用が少ないことであろう.このような夢のような薬剤は容易には開発されないが,今回承認されたオミデネパグイソプロピル点眼液が,どのような特徴を有し,どの要件を満たすか,その有効性と安全性を解説する.新規作用機序を有するだけに,その効果と適正使用について,理解を深めていただければ幸いである.また,本薬剤はプロスタノイド受容体EP2に結合するため,現在のPG関連薬と混乱することを避けたい.そこで,交感神経系の薬剤がβ遮断薬,α₁遮断薬,α₂作動薬と細分化されて呼称されているのと同様,受容体への作用機序で分類するほうが明確であるため,本稿では既存のPG関連薬4剤をまとめてFP作動薬,オミデネパグイソプロピル点眼液をEP2作動薬と呼ぶことにする.今後もそのような分類群で記載されることが望ましいと考える.
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