特集 伝達物質と受容体
3.アミン
ヒスタミン
H1受容体アンタゴニストによる記憶欠損
亀井 千晃
1
Chiaki Kamei
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科薬効解析学
pp.440-441
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100909
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
クロルフェニラミン,ジフェンヒドラミン,プロメタジン,ピリラミン,アゼラスチン,ケトチフェン,オキサトミド,アステミゾール,2-メチルヒスタミン,4-メチルヒスタミン/ヒスタミン(H1)受容体
第一世代のH1受容体アンタゴニスト(クロルフェニラミン,ジフェンヒドラミン,プロメタジンン)は,従来より眠気,倦怠感などの中枢抑制作用を示すことがよく知られている。しかし,ヒスタミンやH1受容体アンタゴニストにより,記憶・学習機能が影響されるという報告はあまり知られていなかった。1986年de AlmeidaとIzquierdoによって,ヒスタミン作動性神経が学習・記憶に関与することがマウスのstep-through型受動的回避反応を用いてはじめて報告された。この論文は,受動的回避反応の獲得試行直後にヒスタミンをマウスの側脳室内に投与すると受動的回避反応が促進されること,そしてこの作用はH1受容体アンタゴニストにより拮抗されることを示したものである。受動的回避反応は非常に簡便で,薬物作用の検定を行うには便利であるが,1回の訓練だけでの学習は真の学習といえるか否かに疑問を抱いた。従って,step-through型能動的回避反応および8方向放射状迷路テストを用いて,ヒスタミン作動性神経,H1受容体アンタゴニストと記憶・学習との関連について検討した。
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