特集 伝達物質と受容体
1.アミノ酸
興奮性
NMDA受容体アンタゴニストとしての亜鉛と海馬LTP
武田 厚司
1
,
奥 直人
1
Atsushi Takeda
1
,
Naoto Oku
1
1静岡県立大学薬学部医薬生命化学分野
pp.356-357
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100869
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
[用いられた物質/研究対象となった受容体]
亜鉛/NMDA受容体
記憶形成を司る海馬の亜鉛濃度は約300μMであり,他の領域と比べて高い。また,Timm's染色(亜鉛イオンが染まる)では苔状線維が存在する透明層が最も強く染色され,シャーファー側枝が存在するCA1放線層,貫通線維が存在する歯状回分子層も染色される。大脳皮質からの情報は貫通線維シナプス,苔状線維シナプス,シャーファー側枝シナプスの三つのシナプスで処理され,記憶される(図)。これらのシナプスはグルタミン酸作動性であり,グルタミン酸とともに亜鉛が放出される。特に,苔状線維ではすべての終末から亜鉛が放出される(シャーファー側枝では約45%の終末から)。細胞外に放出された亜鉛はグルタミン酸受容体などに作用し,グルタミン酸作動性シナプスの活動を調節する。
Copyright © 2009, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.