特集 伝達物質と受容体
3.アミン
ドーパミン
中枢神経系におけるドーパミン受容体の働き
三浦 正巳
1
,
増田 正雄
1
,
青崎 敏彦
1
Masami Miura
1
,
Masao Masuda
1
,
Toshihiko Aosaki
1
1東京都老人総合研究所神経病態生理
pp.412-413
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100895
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ドーパミンは中枢神経系におけるカテコールアミン系の神経伝達物質である。脳では線条体(尾状核,被殻),側坐核に約80%のドーパミンが集中している。ドーパミンはノルアドレナリンなどと同様にチロシンからドーパ(L-ジヒドロキシフェニルアラニン:L-DOPA)を経て生合成される。歴史的にはノルアドレナリンの前駆物質と見なされた時期もあったが,1950年代にカールソン(Carlsson, A.)によって神経伝達物質であることが明らかにされた。これらの業績により,グリーンガード(Greengard, P.),カンデル(Kandel, E.)とともに2000年のノーベル医学生理学賞を受賞したことは記憶に新しい。
ドーパミン作動性ニューロンは中脳と視床下部に存在し,線条体,前頭葉,大脳辺縁系,視床下部の正中隆起に投射する。中脳から大脳皮質,辺縁系へ投射する経路は報酬や意欲,動機,学習などに関わる。中脳線条体系では,運動制御に加えて行動の強化学習に必須である。こうした経路では,ドーパミンはシナプス前終末や一部は樹状突起から(dendritic release)放出され,神経伝達物質として働いている。一方,弓状核のドーパミン作動性神経は正中隆起に投射し(隆起漏斗ドーパミン系),黄体形成ホルモン放出ホルモンの放出を抑制する。ここではドーパミンはホルモンとして働く。
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