特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
6.免疫学
Th17細胞とその機能
渋谷 和子
1
Kazuko Shibuya
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科基礎医学系免疫学
pp.462-463
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100559
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Th17はエフェクターヘルパーT(Th)細胞のサブセットとして新しく仲間入りした細胞群である。1986年,エフェクターTh細胞はその産生するサイトカインによってTh1,Th2の二つのサブセットに分類できることが見出された。一時はTh細胞の関与する免疫応答はすべてTh1とTh2にて説明されるかのように考えられていたが,2000年,ライム病の原因となるBorrelia感染によって活性化されるエフェクターTh細胞がIL-17やTNF-αを産生し,Th1にもTh2にも分類されない細胞群であることが報告された1)。また,IL-12とp40分子を共有する新しいサイトカインIL-23の発見により,2003年,従来IL-12によって活性化されるTh1が惹起する自己免疫応答だと考えられていた実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)やコラーゲン誘導関節炎(CIA)などの病態が,実はIL-23によって活性化されたIL-17産生エフェクターTh細胞群によるものであることが明らかにされた。さらに,IL-17を産生するエフェクターTh細胞群はCD4+ナイーブT細胞からTh1,Th2とは完全に独立して分化する細胞群であることが示され,2005年,Th17という名称がつけられた2)。
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