特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
6.免疫学
Mycoplasma感染症と関節リウマチ
川人 豊
1
,
松田 和洋
2
Yutaka Kawahito
1
,
Kazuhiro Matsuda
2
1京都府立医科大学大学院医学研究科免疫内科学
2産業技術総合研究所臨海副都心センター
pp.464-465
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100560
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
リウマチ性疾患の代表である関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は多因子疾患であり,HLA-DRやnon-MHC疾患感受性遺伝子などの遺伝因子にタバコや化学物質などの環境因子が複雑に関与して免疫学的な異常が出現し発症することが推定されているが,依然としてその発症の鍵となる真の原因は不明である。RAの病因としての獲得免疫,自然免疫を含めた免疫異常を考える上で,抗原提示の最大の機会である感染が,環境因子のなかでも最も重要視されることは明らかである。RAは近年,TNF-αなどのサイトカインをターゲットとした生物学的製剤により,ある程度疾患活動性を制御できるようになったが,真の病因に関わる治療でないため根治やその予防は望めない。RAの発症機序に関連する病原体としてはEBウイルス,HTLV-1,ヒトパルボウイルスB19など,ウイルス以外にも細菌としてはMycoplasmaがRAの原因の最有力候補に取り上げられてきたが,確証に至らずにいた。われわれはこのMycoplasmaに注目し,RAの病因としての仮説を提唱している。
Copyright © 2008, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.