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特集 免疫学の最近の動向
Th17誘導性気道炎症とマスト細胞
Role of mast cells in Th17 cell-Mediated airway inflammation
大保木 啓介
1
,
大野 建州
1
,
梶原 直樹
1
,
斎藤 博久
1
,
中江 進
2
Keisuke Oboki
1
,
Tatsukuni Ohno
1
,
Naoki Kajiwara
1
,
Hitohisa Saito
1
,
Susumu Nakae
2
1国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部
2東京大学医科学研究所フロンティア研究拠点
pp.280-288
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100349
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喘息は日本でおよそ200万人,世界でおよそ3億人にのぼる人々が罹患している呼吸器系の慢性炎症疾患である。遺伝子欠損マウスを用いた喘息モデルの解析から,喘息の発症および病態形成のメカニズムの解明や治療法の確立に大きな進歩が見られているものの,喘息病態の多様性は完全に理解されるに至っておらず,ステロイドの効かない重症喘息や喘息死を含め,喘息はいまだ難治性疾患として認知されている。
これまで,血中の高IgE値と好酸球の気道浸潤を伴う病態(アトピー型)が喘息の特徴とされてきた。しかし近年,血中IgE値の上昇は認められず,好酸球ではなく好中球の浸潤を伴う病態(非アトピー型)の喘息患者が存在することが明らかとなった1)(図1)。また,アトピー型患者も均一集団ではないことが指摘されており,重症度と炎症像(好酸球/好中球の浸潤数)によってさらに分類される。軽症および中等症の患者は好酸球優位の炎症像を呈し,重症患者では好中球優位の炎症像が観察される2)(図1)。重症患者は,さらに好中球優位の患者と好酸球/好中球の両方の浸潤を認める患者に分類され,後者の好酸球/好中球複合型の方がより重症度が高い。好酸球優位の炎症像を呈する軽症および中等症の患者ではステロイド投与による症状の寛解が顕著であるのに対し,好中球優位の炎症像をもつ重症患者では,ステロイドによる治療効果が低い3)。
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