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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.17
自己免疫性皮膚炎における病原性Th17細胞の生存機構
Mechanism for long term survival of pathogenic Th17 in a psoriasis model
竹馬 俊介
1,2
Shunsuke CHIKUMA
1,2
1国立清華大学生命科学院医学院生物科技研究所
2慶應義塾大学医学部微生物学免疫学教室
キーワード:
自己免疫疾患
,
乾癬
,
ヘルパーT細胞
,
Th17
,
治療抵抗性
Keyword:
自己免疫疾患
,
乾癬
,
ヘルパーT細胞
,
Th17
,
治療抵抗性
pp.623-628
発行日 2024年11月23日
Published Date 2024/11/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291080623
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SUMMARY
インターロイキン(IL)-17産生ヘルパーT(Th17)細胞は,慢性自己免疫疾患において中心的なエフェクター細胞として機能する.Th17細胞は長寿命であり,自己免疫疾患の治療抵抗性や再発に関与するとされるが,その機序は未解明である.筆者らは,Th17細胞依存性の実験的自己免疫皮膚炎モデルを確立し,CD28拮抗薬であるアバタセプトが皮膚疾患の発症を効果的に抑制することを示した.さらなる解析により,アバタセプトはエフェクター型Th17細胞の出現を選択的に阻害する一方で,IL-7受容体(IL-7R)を発現するメモリー型Th17細胞の生存と増殖には関与しないこと,またメモリー型Th17細胞にはエフェクター型Th17へと再分化する能力があることが明らかになった.生存したIL-7R+Th17細胞は,アルコールやアルデヒドの解毒といった独特の代謝経路を示し,体内でアルデヒド脱水素酵素(ALDH)阻害薬に感受性を示した.病原性Th17(pTh17)細胞には免疫抑制剤に対する抵抗性を持つ亜集団が存在し,自己免疫疾患の遷延化に関与する可能性がある.
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