特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
8.ペルオキシソーム・リソソーム
リソソーム付随膜蛋白質-2(LAMP-2)
西野 一三
1
Ichizo Nishino
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
pp.474-475
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100475
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リソソーム付随膜蛋白質-2
リソソーム付随膜蛋白質-2(Lysosome-associated membrane protein-2:LAMP-2)はリソソーム膜の主要な糖蛋白質であり,相同体であるLAMP-1とともに,リソソーム膜をほぼ完全に埋め尽くすようにして存在していると考えられている。LAMP-2はリソソーム膜を1回だけ貫通する膜蛋白で,N端→C端の順にリソソーム腔内ドメイン,膜貫通ドメイン,細胞質ドメインの三つの領域からなる。リソソーム腔内ドメインにアミノ酸残基の90%以上が存在し,強力な糖修飾を受けている。このドメインにはシステイン残基間のジスルフィド結合により形成される四つのループが存在する。細胞質ドメインは小さく,C端の11残基のみで構成され,リソソーム移行シグナルと考えられるチロシン残基が存在している1-3)。
相同体のLAMP-1遺伝子が常染色体(13q34)上にあるのに対して,LAMP-2遺伝子はX染色体(Xq24)上にある。オープンリーディングフレームは1,233ヌクレオチドからなり,410アミノ酸をコードする。mRNAは9個のエクソンがスプライシングを受けて作られる。ヒトでは第9エクソンがエクソン9A,9B,9Cの3種類あり,オールタナティブスプライシングにより,LAMP-2A,2B,2Cの三つのアイソフォームが作られる3)。この第9エクソンにのみ膜貫通ドメインと細胞質ドメインがコードされている。LAMP-2A,2B,2Cの各アイソフォームの組織分布は異なっており,骨格筋や心筋ではLAMP-2Bが豊富に存在する3,4)。
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