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特集 リソソーム:最近の研究
リソソームとアルツハイマー病
Alzheimer's Disease and Lysosome
伊井 邦雄
1
Kunio Ii
1
1特定医療法人深田記念会松井病院
pp.127-134
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901682
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蛋白代謝は細胞生存の基礎である。すべての細胞においてリソソーム性および非リソソーム性を含め,細胞内蛋白の分解やその制御にはじつに多くの蛋白分解酵素(プロテアーゼ)や蛋白分解阻害物質(インヒビター)が関与する。神経細胞を含め脳組織の諸細胞も例外ではない。リソソーム性蛋白分解については多くの成書や雑誌1-13)などを参照していただくとして,酵素やインヒビターを含めてリソソームとアルツハイマー病(AD)について最近の知見の一部を,著者らの研究結果も含めて紹介する。
リソソームは多くの加水分解酵素を含み,細胞内の自殺袋14)とも呼ばれ,変性,老化や傷害された蛋白などの細胞内異常物質の分解処理など,細胞の代謝や生存に不可欠の諸機能を果している(上記成書参照)が,ADの発症や病態においても重要な役割を果しているらしいことが,最近次第に明らかになりつつある。それは単に“自殺袋”として細胞内に生じた変性蛋白などの受動的な分解除去にとどまらず,より能動的にADの病態の形成に関わっている可能性を示すものである。生体の多くの細胞が壊死あるいはアポトーシスを経て再生して細胞諸成分が一新されるのに比して,それら諸細胞のような再生の行われない神経細胞は,個体の加齢とともに老化する運命にある。
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