特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
4.受容体
ヒト甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)
赤水 尚史
1
Takashi Akamizu
1
1京都大学探索医療センター
pp.426-427
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100455
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TSHRの概説
ヒト甲状腺刺激ホルモン(thyrotropin:TSH)受容体(TSHR)は,764個のアミノ酸からなる糖蛋白であり,長い細胞外領域(N端側に存在),7個の細胞膜貫通領域,および細胞内領域(C端側)によって形成されるG蛋白共役型受容体である。LH/CG受容体やFSH受容体と相同性が高く,糖蛋白ホルモン受容体ファミリーを形成する1)。
TSHRは甲状腺膜上に存在し,下垂体から分泌されるTSHの作用を伝達する。TSHはTSHRを介して甲状腺の種々の機能や増殖を調節している。甲状腺機能に必須なヨードトランスポーター(Na/I symporter:NIS),甲状腺ペルオキシダーゼ(thyroid peroxidase:TPO),サイログロブリン(Tg)の産生を高める2)。また,コロイドへのヨード遊離,サイログロブリンのヨード化,甲状腺ホルモン産生も刺激する。さらに,TSHは甲状腺細胞の増殖を刺激することはin vivoでもin vitroでも確認されているが,増殖作用にはIGF-1やインスリンの存在が必要と考えられている。
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