特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
2.酵素および酵素制御
α-シヌクレイン α-synuclein(SNCA)
岩坪 威
1
Takeshi Iwatsubo
1
1東京大学大学院薬学系研究科臨床薬学教室
pp.400-401
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100444
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1997年,常染色体優性遺伝性を示す南イタリアContursi村起源の家族性パーキンソン病(FPD)家系において,α-synuclein遺伝子(SNCA)のミスセンス変異(A53T)が報告された1)。これは単一遺伝子病の形をとるFPDの中で病因遺伝子が同定された最初の例であり,park1として登録された。臨床的には,発症年齢が30-50歳台とやや若年である以外は孤発例に類似しており,病理学的にLewy小体(LB)の出現を伴っていた。SNCAのFPD変異としてはその後A30P2),E46K3)の2変異が報告されている。
ほぼ同時期に,α-synuclein(aSyn)蛋白は孤発性PDやLewy小体型痴呆症(DLB)の変性神経細胞に出現するLBの構成成分であることがわかった4,5)。この発見により,aSynの蓄積は単なる終末的な病理学的結果ではなく,FPDのみならず孤発性PDを含めた,aSynの蓄積を特徴とする神経変性疾患(synucleinopathy)の病因に関与するというコンセンサスが成立した。
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