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家族性周期性四肢麻痺あるいは先天性パラミオトニー(paramyotonia congenita;PC)といった遺伝性発作性筋疾患において,骨格筋電位依存性Na+チャネル(Nav1.4)αサブユニットをコードするSCN4Aの遺伝子変異が報告されている。この遺伝子変異は,最初に高カリウム性周期性四肢麻痺(hyperkalemic periodic paralysis;hyperKPP)1)で見出され,先天性パラミオトニー2)やカリウム惹起性ミオトニー(potassium aggravated myotonia;PAM)3)においても報告された。さらに近年,低カリウム性周期性四肢麻痺(hypokalemic periodic paralysis;hypoKPP)4)と正カリウム性周期性四肢麻痺(normokalemic periodic paralysis;normoKPP)5)家系においてもSCN4Aの点変異が同定された。このように骨格筋Na+チャネル病では発作時に血清カリウム濃度の変化を呈することが一つの特徴である。もう一つの特徴は,1886年のvon Eulenburg6)による先天性パラミオトニーの報告以来知られていることであるが,寒冷曝露により症状の増悪を来たすことである。このように骨格筋Na+チャネル病においては,血清カリウム濃度の変化や温度変化が,麻痺あるいはミオトニー発作の誘因と考えられるが,その機序は未だ明らかではない。これを明らかにすることは治療戦略を考える上でもきわめて重要である。
一方,パッチクランプ法を用いた変異Nav1.4の電気生理学的機能解析から,麻痺あるいはミオトニー発作の発現に,Na+チャネルの速い不活性化(fast inactivation)と遅い不活性化(slow inactivation)の異常(高橋らの稿247-253頁参照)が関与することが報告された。本稿では骨格筋Na+チャネル病における発作誘因である血清カリウム濃度および温度の変化と変異Nav1.4チャネルキネティックス,特に速い不活性化との関連について最新の知見を紹介する。
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