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特集 循環器系薬剤の新しい視点—検証と展望
カリウムチャネル遮断薬
Potassium Channel Blockers
能澤 孝
1
,
井上 博
1
Takashi Nozawa
1
,
Hiroshi Inoue
1
1富山医科薬科大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Toyama Medical and Pharmaceutical University
pp.153-158
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902423
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はじめに
心不全患者の予後予測因子の一つに心室期外収縮などの不整脈の存在があげられる.そこで,心不全患者の不整脈を抑制すればその予後が改善するのではないかと,抗不整脈薬治療に期待が集まった.しかし,心機能低下例におけるNaチャネル抑制を主作用とする薬物(I群抗不整脈薬)投与は患者の長期予後を悪化させるという結果(CAST1))から,心機能低下を有する不整脈患者に安易にI群抗不整脈薬の投与を行うことは避けるべきと考えられている.代わって注目されるようになったのが,心筋のカリウムチャネルを遮断するIII群抗不整脈薬である.しかし,最近行われた大規模臨床試験SWORD2)で,純粋なIII群薬であるd—ソタロールの長期投与も患者の生命予後を悪化させることが示された.
そこで最近では,アミオダロンやベスナリノンに代表されるIII群薬以外の作用も併せ持っ複合的抗不整脈薬に関心が集まっている.ベスナリノンは強心薬として当初から心不全治療を目的に開発された.一方,抗不整脈薬として開発されたアミオダロンが心不全治療薬としても有効ではないかと,臨床検討が行われつつある.カリウムチャネルを抑制する薬剤はIII群抗不整脈薬だけではなく,I群,IV群抗不整脈薬もカリウムチャネル遮断作用を有する.
本稿では心不全とカリウムチャネル遮断薬の観点から,III群薬と抗不整脈薬以外でカリウムチャネル遮断作用を持つ薬剤の大規模臨床試験結果を中心に概説する.
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