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特集 ユビキチン化による生体機能の調節
転写因子AhRはユビキチンリガーゼ複合体の基質認識サブユニットとして機能する
A transcription factor AhR is a ligand-dependent E3 ubiquitin ligase
大竹 史明
1
,
藤井 義明
1
,
加藤 茂明
1
Fumiaki Ohtake
1
,
Yoshiaki Fujii
1
,
Shigeaki Kato
1
1東京大学分子細胞生物学研究所
pp.556-562
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100947
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タンパク質分解は多彩な生体機能制御を担っており,その重要性が近年次々に明らかとなっている。ユビキチン-プロテアソーム系は主要なタンパク質分解経路の一つであり,ユビキチンE3リガーゼによる選択的な基質認識を特色としている。しかしながら,細胞内外からのシグナルに応じてユビキチンリガーゼによる基質認識能が制御される機構は不明な点が残されている。
性ステロイドホルモン・脂溶性ビタミンや環境有害物質などを含む脂溶性低分子リガンドは,多彩な生理作用あるいは薬理・毒性作用を発揮する。脂溶性リガンドの作用の多くは各々特異的なリガンド依存性転写因子を介して発揮されると考えられている。これら転写因子には核内受容体であるエストロゲン受容体(ER)やbHLH/PASファミリーのダイオキシン受容体(Arylhydrocarbon Receptor:AhR)などが含まれ,特異的DNA配列に結合することによって標的遺伝子選択的な発現制御を行うことが知られている1)。近年,転写因子がユビキチン-プロテアソーム系における構成因子としてタンパク質分解に関与する事例が明らかになりつつある2)。本稿では,リガンド依存性転写因子であるAhRがユビキチンリガーゼとして機能するという筆者らの解析結果を含め3),転写制御因子がユビキチンリガーゼの特異性を制御する事例を紹介し,リガンド依存性転写制御系とタンパク分解制御系との相互連関機構の一端について概説する。
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