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特集 シナプス後部構造の形成・機構と制御
シナプス後肥厚部の分子構築と動態
Molecular architecture and dynamics of the postsynaptic density
岡部 繁男
1
Shigeo Okabe
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科細胞生物学分野
pp.74-80
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100010
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シナプス後肥厚部(postsynaptic density:PSD)とは,中枢神経系の興奮性シナプスのシナプス後部膜の裏打ち構造を形成する,膜蛋白質と細胞質蛋白質から構成される分子複合体である。生化学的・分子生物学的解析によってPSDに存在する多様な分子群が同定され,その中にはグルタミン酸によるシナプス伝達に必須のグルタミン酸受容体,シナプスでの接着に働く接着分子,またこれらの膜蛋白質からの情報を細胞内に伝達する情報伝達分子など重要な役割を果たす分子が含まれている。複数の蛋白質と相互作用し,機能分子の配置を制御する役割を持つと考えられている足場蛋白質(scaffolding proteins)もPSDの重要な構成要素である。
近年の分子生物学・形態学・電気生理学的解析により,PSD分子の数,分布,相互作用を直接高精度に測定することが可能となった。本総説ではPSDの形態と構成蛋白質,その動態について解説し,さらに単一シナプスにおけるPSD蛋白質の定量的解析の現状と将来的な展望についても紹介する。
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