投稿 総合診療外来・在宅
在宅療養患者に対する往診時の睫毛抜去による症状改善の1例—在宅医療における眼科的対応の意義
西村 裕樹
1,2
,
戸澤 小春
1,2
,
横岩 良太
2
,
中山 慎太郎
2
,
清水 映輔
1,2
1医療法人 慶眼会 横浜けいあい眼科 和田町院
2OUI Inc.(株式会社OUI)
pp.1331-1333
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350111331
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睫毛は、眼への異物侵入を防御するとともに、顔貌に大きく寄与するため、その変化は眼症状のみならず心理的影響も著しいことに留意する必要がある。睫毛乱生(trichiasis)とは、本来外向きに生えるはずの睫毛の一部が不規則に変化した状態である1)。睫毛乱生自体は自覚症状を伴わないが、睫毛が内向きに生え、角結膜に接触して刺激となることで、点状表層角膜症・角膜びらん・角膜潰瘍などの障害を引き起こし、流涙・充血・視力障害の原因にもなりうる1,2)。
先天性の睫毛乱生では睫毛重生が原因となり、睫毛内反症(epiblepharon, cilial entropion)とは別病態であることに留意する3)。後天性では眼瞼炎・外傷・結膜瘢痕化・加齢などが原因となる。また、Stevens-Johnson症候群や点眼薬のアレルギーに伴う慢性炎症でも生じる1)。また、眼瞼内反症(entropion)は、眼瞼皮膚や瞼板を含む眼瞼の全層が内反する病態であるため、睫毛乱生とは別病態であることにも留意が必要である4)。

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