特集 シマから学ぶ、プライマリ・ケアの未来—いざ、素晴らしき離島医療の世界へ
【総論】
❷課題解決先進地域—タグボートとしての離島医療への取り組み【中ノ島・海士町より】
阿部 裕志
1
1株式会社風と土と
キーワード:
タグボート
,
島の自立
,
温かい交流
,
意思ある挑戦
Keyword:
タグボート
,
島の自立
,
温かい交流
,
意思ある挑戦
pp.602-604
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350060602
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海士町の挑戦のはじまり
海士町のある中ノ島は、島根県本土からフェリーで3時間かかる隠岐諸島の1つで、後鳥羽上皇が配流された島としても知られています。自然と人情が豊かな島で、豊かな海や田んぼがあり、ビアガーデンはみんなで手作り、島民総出の綱引き大会で盛り上がります。しかし高度成長期を経て、全国の離島と同様に人口減少(1950年6,986人→2000年2,672人)、超少子高齢化(2000年出生数18人、高齢化率36.1%)、超財政難(2010年財政再生団体予定)という状況でした。
そんな危機の中、「自立・挑戦・交流」を掲げる山内道雄前町長や地域リーダーたちの挑戦が2002年より始まりました。周囲3町村から成る島前地域での合併協議を解散して自立の道を決断し、役場職員が給料をカットして(町長50%、課長30%、職員16%程度)財源を確保し、民間企業も異業種参入し、官民が一丸となって地域の資源を生かした産業を興していきました(私が海士町に移住した2008年はその真っ只中でした)。

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