特集 —知ってるつもり? 知らなきゃいけない?—新語・新概念辞典
【新語・新概念(五十音順)】
中枢気道粘液栓/粘液スコア
金子 猛
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 呼吸器病学
キーワード:
喘息
,
中枢気道粘液栓
,
粘液スコア
Keyword:
喘息
,
中枢気道粘液栓
,
粘液スコア
pp.147-148
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350020147
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◦中枢気道粘液栓
喘息死をきたした患者の剖検肺の所見として、古くから気道内に粘液栓が多発していることが知られており1)、気道粘液栓は喘息増悪時の重篤な換気障害や窒息死の主な原因と考えられてきた2,3)。近年画像診断機器と診断技術の進歩により、喘息の安定期においても、中枢気道に粘液栓が高頻度に存在することが明らかにされている4)。気道粘液栓は,喘息の病態において非常に重要な役割を果たしており、治療のターゲットとして大きな注目を集めている。気道粘液栓は、喘息患者の安定期において軽症・中等症の4割、重症では約7割と高頻度に認められ、呼吸機能の低下、病態の進行や重症化、および頻回な増悪に関与することが明らかにされている4)。
粘液栓形成の機序として、主としてインターロイキン(IL)-13による杯細胞の過形成に基づくムチン産生の増加とIL-5による好酸球性気道炎症に基づく好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)の放出が重要であり、EPOが気道においてオキシダント産生を増加させることで、ムチンの重合が促進して粘液栓が形成されると考えられている4)。粘液栓形成が高度な喘息患者の臨床像として、末梢血好酸球数増加、呼気一酸化窒素濃度の上昇が顕著であり、さらに、閉塞性換気障害が高度で頻回の増悪をきたし、重症度が高いという特徴を有することが報告されている4,5)。また、鼻茸(好酸球性副鼻腔炎)を合併する症例も多い6)。気道粘液栓に対する治療戦略として、生物学的製剤の有効性が報告されている7)。
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