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本邦においてさまざまな背景病態を持つ認知症に悩まれる人の総数は,軽度認知障害レベルの人を含めると1000万人に達し,その適切な診断と治療の実現は焦眉の急となっている。冨本秀和先生の監修の下「表裏一体の関係にある画像と病理をわかりやすく視覚的に対比することにより,認知症の臨床診断と病態の理解・解明を導く」ことを基本コンセプトとする本書の初版が上梓されたのは2018年のことであった。以来本書は認知症にかかわる多くの医師・学徒に広く支持され,この領域における定番のロングセラーとなってきた。
過去10年の間に認知症の診断と治療には革命的な進歩があった。その1つは,2023年に抗アミロイドβ抗体療法の早期症候性アルツハイマー病(AD)に対する臨床実用が,初めての疾患修飾療法として開始されたことにある。抗体療法の適応確定には,分子イメージングもしくは脳脊髄液バイオマーカーを用いたアミロイド病理の診断が必要となり,領域を挙げての悲願であったアミロイドPET診断の臨床実用がついに開始された。一方で抗体療法に独特な副作用として,アミロイド関連画像異常(ARIA)というまったく新しい治療関連病態が出来し,安全性の確保のために必須となった高磁場MRIによる画像診断は,画像診断医と認知症専門医の双方に新たな経験と知識を要求するに至った。他方,リン酸化タウ217に代表される体液バイオマーカーの急速な進歩は,画像診断とのシナジーにより,軽度認知障害期に先行する無症候の「プレクリニカル期」におけるAD病態の診断と超早期の治療介入をも可能とし始めている。この時機に,最新の知見を反映した本書の第2版が刊行されたことは時宜を得て,また必然であったと申せよう。

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