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書評 「標準的神経治療 しびれ感」—日本神経治療学会【監修】 福武 敏夫,安藤 哲朗,冨本 秀和【編】
北野 邦孝
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1松戸神経内科
pp.1322
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200910
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このたび,日本神経治療学会監修《標準的神経治療》シリーズの1冊として医学書院より『しびれ感』が発刊された。福武敏夫先生ほか気鋭の先生方編著によるもので,診療ガイドラインとして多くの読者が期待するであろうテーマの1つとして選ばれたものである。確かに,日常診療で最も多い主訴は「頭痛」「めまい」「しびれ」と言われるが,前二者については研究や論文も多く独立した書物や神経学書の中で特別に取り上げられ,かなり系統的に記述されることが多い。一方,非常に身近な問題である「しびれ感」は多くは付加的に述べられるにとどまっており,実は十分掘り下げられずに放置されてきた感がある。そのような意味で本書は誠に時機を得た企画であり神経内科医としては非常に興味をそそられる。
本書では,第Ⅰ〜Ⅲ章で「しびれ感」の概念,解剖・生理学,臨床的な評価など総論的な問題が記述され,第Ⅳ章では15に及ぶ疾患,病態について各論的に取り上げられている。特筆すべきことは,本書がしびれ感を単に末梢神経や中枢神経に起因する問題に閉じ込めることなく,多くの原因疾患を横断的に網羅する形で(例えば,パーキンソン病のしびれ感,ALSのしびれ感など)を項目として取り上げていることである。「しびれ感」を編集,執筆された諸先生方の,神経学の対象としてしびれに正面から取り組むという意欲が読み取れる。「しびれ」は「痺れ」とも書かれる多義語であり,「痺れ」には「運動麻痺」を表現することもあることは本書でも繰り返し注意を喚起されているが,本書では「しびれ感」あるいは「痛み」という「異常感覚」という感覚系の問題に絞られている。
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