書評
「認知症疾患診療ガイドライン2026」—日本神経学会【監修】 「認知症疾患診療ガイドライン」作成委員会【編】
岩田 淳
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1東京都健康長寿医療センター脳神経内科
pp.1021
発行日 2026年9月1日
Published Date 2026/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960780091021
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本ガイドラインは,2017年版から9年ぶりに大改訂された認知症診療の公式指針である。日本神経学会(幹事)を中心に,日本神経治療学会・日本精神神経学会・日本認知症学会・日本老年医学会・日本老年精神医学会の関連6学会が合同で作成した。Evidence-Based Medicine(EBM)の考え方に基づくQ&A形式を採用しており,標準的治療を扱うBQ(Background Question),系統的レビューに基づく推奨を示すCQ(Clinical Question),今後の研究課題を提示するFRQ(Future Research Question)という3層構造によってエビデンスの強度を明示しながら実臨床への適用を促す構成となっている。
今回の改訂を決定的に方向付けたのは,近年国内で承認された抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ,ドナネマブ)の実用化である。これまでのアルツハイマー病診療はコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬による対症療法が主体であり,病態そのものへの介入手段を欠いていた。抗Aβ抗体薬療法の登場は,アルツハイマー病を「進行を制御し得る疾患」へと位置付け直す歴史的転換点であり,本ガイドラインはこの変革に正面から応答した内容となっている。

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