書評
「《シリーズ・高次脳機能の教室》失行の診かた」—河村 満【シリーズ編集】 近藤正樹【著】
早川 裕子
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センターリハビリテーション部
pp.63
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960780010063
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書店の棚でもひときわ存在感を放つ,柔らかなピンク色の表紙。第1弾の石原健司先生による『記憶障害の診かた』がパステルブルーだったので,2冊並ぶとシリーズとしての世界観が立ち上がる。医学書は手に取りにくい印象があるが,本シリーズは思わず触れてみたくなる可愛さがある。シルバーであしらわれた“Neuropsychology for Beginners”の文字や,ガルの骨相学を思わせるイラストもシリーズ編集者である河村満先生の美意識が感じられる。第3弾の「失語」の色調も楽しみになる。
本書の魅力は,近藤正樹先生の語り口に集約されると思う。近藤先生といえば,学会で鋭い質問を投げかける姿が印象的だ。発表者が見落としがちな視点をすくい上げるその問いは,知識の深さと臨床経験の厚みに裏打ちされている。その思考は,1章から3章に丁寧に示されている。一方で,近藤先生の人柄をより強く感じるのは4章以降だ。長年,患者さんと向き合い,若い医師やコメディカルを育ててきた医療者としての温かさと誠実さが,語り口に自然とにじんでいる。まるで同じ教室で,先生のお話を聞いているようだ。

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