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本邦では,希少疾患は患者数が5万人未満の疾患,希少がんは10万人に6例未満の発生と定義されており,日常診療ではそれほど遭遇しないと思われている方も多いのではないだろうか.しかし,希少疾患は約7,000種類あり,合計すると人口の5%程度,希少がんはがん患者全体の15〜20%を占めると考えられている.2人に1人ががんに罹患するといわれていることから希少疾患,希少がんはいずれも5〜10%程度,つまり単純計算では10〜20人を診療したら1人の希少患者に遭遇することになる.言い換えれば,希少疾患・がんは全体としては“common”なグループなのである.
しかし,7,000種類もある希少疾患はそれぞれにおいて異なるさまざまな症候が現れ,それに伴う障害が生じ,有効な治療法も確立されていないことが多い.同じ疾患でも重症度が異なることが多く,軽症〜中等症では障害があるにもかかわらず見逃されることもある.例として,筆者が診療対象として注力している希少疾患である神経線維腫症1型(NF1,レックリングハウゼン病)を紹介する.知的障害,注意欠如多動症,自閉スペクトラム症を高率に発症し,支援を必要とする患児が多い.側弯症や先天性脛骨偽関節症などの運動器疾患・障害,皮膚神経線維腫や叢状神経線維腫などの腫瘍発症によるactivities of daily living(ADL)/quality of life(QOL)低下,予後不良な悪性末梢神経鞘腫瘍の発症による平均寿命の短縮(10〜15年程度),常染色体顕性遺伝による遺伝病であることから遺伝に関する不安,などさまざまな症候や障害に対応する必要がある.患者の活動を育むためには多科・多職種の連携チーム(multi-disciplinary team:MDT)による対応が必須である.当院では,NF1に対するMDT診療を始めて10年以上経過し,診療の質が徐々に向上していることを実感している.しかし,数多くある他の希少疾患の多彩な障害に対して適切な対応,診療ができているかは疑問である.
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