特集2 身体の「心地良さ」を,変化のきっかけに
―痴呆老人内科混合病棟において―爪真菌症の実態にあわせてルチーンケアを見直して
小森 照美
1
,
佐藤 秀子
1
1医療法人桜桂会犬山病院
pp.58-61
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900559
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今さら爪真菌症?でも,見て見ぬ振りはできない
当院は愛知県北部に位置する患者志向の医療を目指す420床の精神科病院で,現在は皮膚科外来も併設されている。ある日,皮膚科医師による院内教育で,当病棟入院患者は爪真菌症の陽性率が高いのではないかと指摘を受けた。爪真菌症は長期入院における生活空間の共有も大きな要素として考えられ,私たちは看護業務としてルチーン化している清潔ケアに,多くの課題を残しているのではないかと考えた。
これまで,当院スタッフの爪真菌症に対する意識は,皮膚真菌症に比べると低い傾向にあると感じたため,先行研究を調べてみることにした。すると爪真菌症に対する調査研究は意外とされていなかった。しかし陽性率が高い傾向は当院が例外とは思われなかった。“今さらなぜ水虫なの?”と思ったスタッフも多かったと思うが,この身近な問題を無視して患者さんの生活の安全・安楽性は守れないのでは…という素直な気持ちと,看護に携わる多くの人たちに当たり前となっている業務を振り返ってみる必要性を伝えたく,この研究に取り組むことにした。
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