特集 いまさら聞けない精神科看護Q & A
インタビュー①
社会復帰ってなんですか
向谷地 生良
1
1浦河赤十字病院・浦河べてるの家
pp.14-17
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900045
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「この町で一生終わるのか」とわびしい気持ちになったことが原点です
―向谷地さんは,「社会復帰を促さないソーシャルワーカー」だそうですか。
自分自身,社会復帰で苦労しましたから(笑)。私は出身が青森ですから病院のある北海道は見ず知らずの土地だし,襟裳岬の手前の浦河というのは,ほんとうに淋しい町なんです。浦河の駅に降ると倒れかかったような旅館がポツリポツリとあるだけで,だいたいみんなあそこで帰りたくなる(笑)。
しかも,病院で初めてのソーシャルワーカーでしたから先輩がいない。お医者さんとか看護婦さんが集団で機能しているところに,たった1人で入っていくのはとても大変で,いろいろな失敗を繰り返しました。だから精神科を退院した人たちが社会復帰することを考えたときに,自分自身の苦労やプレッシャーと,かれらが町で暮らしていくことがイコールになったんです。
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