連載 トラウマインフォームドな精神保健医療福祉のパラダイムシフト・1【新連載】
トラウマに飲み込まれないように
熊倉 陽介
1,2
1東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
2ことぶき共同診療所
pp.436-441
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200794
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締切が守れない:トラウマの再演の予感
この連載の初回の原稿の締切まですでに残り3日になってしまいました。トラウマインフォームドケアについて、平易なことばで、できれば「ですます調」で書いてくださいという編集者の依頼に沿って書きはじめています。けれど、どうも「ですます調」が自分にしっくりこず、ここまでの内容の全くない数行を書くだけでも、すでに何度も書き直しています。このまま書き進めることができるのか、暗澹とした気分です。書けないかもしれません。
「ですます調」で書くということは、すなわち、多くの読者を無視して難しいことばを並べるのではなく、わかりやすく読みやすい文章を書くということなのだろうと思います。わかりやすく説明するためには、意味を深く理解している必要があります。やさしく書くには知性が必要です。まだ自分でもよくわかっていないことを書こうとしているにもかかわらず、やさしく書こうとしているので、余計に書けなくなってしまっているのかもしれません。
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