特集2 脱施設化の先進地イタリアの素顔が見たい
—イタリアレポート〈5〉—当事者研究ワークショップを開催—ダイアレクティークへと生成するダイアローグ
松嶋 健
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1広島大学大学院社会科学研究科
pp.557-560
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200291
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「見学者」を脱し、披露する側になったべてる
今回べてるがトリエステで当事者研究を行ったのは、思われている以上に画期的なことである。これまで日本からトリエステを訪問した人は何千人にのぼるかわからないほどだが、その多くが、先進的モデルを見学し勉強させてもらうという構えだったように思われる。そういう意味では、一方向的で非対称な関係性であり、対等な対話とは言えないようなものだったのではないだろうか。
しかし今回は、トリエステ精神保健局の中の、これまで数々の歴史的なセミナーや講演が行われてきた部屋で、現地の精神保健サービスのスタッフと当事者、研修生などを前に、べてるのメンバーが当事者研究を披露したのである。
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