REPORT
—“催眠”を認知科学として研究中の東大大学院生がレポートしてくれました。—ユマニチュードと催眠。その驚きの共通点とは
漆原 正貴
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1東京大学大学院総合文化研究科
pp.182-184
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200049
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ユマニチュードという不思議な響きを私が耳にしたのは、昨年の夏頃でした。「話す」「触れる」といった看護の基本を徹底するだけで、暴れたり徘徊するお年寄りのケアに絶大な効果を発揮する──。そんな新しい認知症ケアの技法があると聞いて、「これは催眠に使えるかもしれない」と興奮したのを覚えています。
私の研究テーマは催眠であり、認知症とそこまでかかわりが深いわけではありません。ですが、催眠は「話す」技術であり、「見る」ことや「触れる」ことに細心の注意を払います。だからこそ、そうしたコミュニケーションの基礎を突き詰めた技法がケアの世界にあるのであれば、しかもそれが魔法のような効果を発揮するのだとすれば、異なる領域ながら参考になるかもしれないと考えたのです。そんな軽はずみな気持ちから入門書を手に取ったのですが、ユマニチュードについて詳しく知るにつれ、私は幾度も驚かされることになりました。「これって催眠と全く同じじゃないか」と。
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