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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅳ.臨床応用薬
催眠鎮静薬
Hypnotics and sedatives
諸治 隆嗣
1
,
勝浦 五郎
2
Takashi Moroji
1
,
Goro Katsuura
2
1東京都精神医学総合研究所精神薬理研究室
2塩野義製薬㈱研究所
pp.525-528
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900283
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「概説」
不眠症は不眠のみを主訴とする狭義の不眠症のほかに,精神分裂病や躁うつ病などいろいろな精神障害,さらに各種の身体疾患の際にもしばしば認められる症状である。催眠薬(「睡眠導入薬」とも呼ばれることがある)は,不眠を訴えるこうした患者の治療に欠くことのできないものである。しかし,精神障害に伴う不眠の場合,原疾患の経過が催眠薬の必要性を左右する。すなわち,原疾患の軽快あるいは寛解によって不眠も軽滅するので,原疾患に対する治療が常に優先することになる。ところが,原疾患が催眠薬によりさらに悪化するといったこともありうる。このように,不眠症の研究と治療は単に患者を不快な不眠から解放するだけでなく,不眠を呈する原疾患の病態解明にも寄与するところが多い。
現在,様々な催眠鎮静薬が不眠の治療に用いられている。強い不安や焦躁感を伴う不眠の患者には催眠作用を有する抗不安薬,うつ病患者の不眠には催眠作用のある抗うつ薬,精神運動興奮を伴う強度の不眠の患者には強い催眠・鎮静作用のある抗精神病薬が用いられている。
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