連載 精神科の患者さんの身体では、何が起きている?・3
統合失調症患者の動脈硬化
秀野 武彦
1
1浅井病院・精神科
pp.81-84
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101327
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統合失調症患者には肥満が多い?
20年以上前、まだ非定型抗精神病薬がない時代にも「統合失調症患者は太っている」と言われていました。肥満調査をしてみると、「閉鎖病棟」「12時間開放病棟」「24時間開放病棟」の順に肥満者の割合が多いという結果でした。そして1日の行動に制限のない「デイケア利用者」と「24時間開放病棟」の患者は、半数以上が肥満者でした*1。逆に「閉鎖病棟」では肥満はむしろ少なかったのです。
このことは、飲食物へのアクセスのしやすさなどの環境要因や、精神症状の重症度などによって肥満の多さは異なり、「統合失調症=肥満が多い」とは単純に言えないということを意味します。さらに、どんな患者でも体重が増加するわけではなく、「患者が若いこと」「服用開始前のBMIが低いこと」が体重増加を起こしやすい要因だということがわかっています*2。
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