連載 精神科の患者さんの身体では、何が起きている?・2
統合失調症は身体機能低下が早い?
秀野 武彦
1
1浅井病院・精神科
pp.49-53
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101290
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30年前、初めて当直をした夜、女性閉鎖病棟の扉を開けると、多数の若い患者さんが「先生ー、どこから来たのー」と口々に話しかけながら、勤務室に入るまで私を取り囲みました。速く歩いても、患者さんは逃すものかとばかりに小走りで追いかけてきて、白衣をつかもうとします。「これはすごいところだな」というのが強烈な第一印象でした。
30年経った今、その時の患者さんのうち3名はまだ入院しています。しかし、もう以前のようなことはありません。1名は車椅子、1名は寝たきり、残り1名はあの夜のように追いかけてきますが、普通に歩いても2mで距離が離れてしまいます。いつの間にか歩くのが遅くなったり、歩けなくなったりしているのです。
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