書評
「統合失調症を生きる─精神薬理学から人間学へ」
社本 昌美
1
1北勢病院
pp.97
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101060
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
THE 長嶺マジック!!「人間」に軸足がある薬理学の話
昔から、わりとクールな考えかたをする私です。「もしもあのときに~だったら」なんて、架空の話はあまりしませんし、好きではありません。でも、初めて「あー!! あのとき、この人の、この本に出会っていたら」と思ったのが、この長嶺敬彦先生の『統合失調症を生きる─精神薬理学から人間学へ』という本です。
8年前、私が受け持った女性患者さんは統合失調症の方でした。訴えの内容は支離滅裂で、当時の私はなんだかよくわからずに、「これが妄想なんだろうなぁ」「どうにか治らないものかなぁ」なんて思いながら、その患者さんと接していました。精神科に来てすぐだったこともあり薬物療法はチンプンカンプン、疾患の理解も難しい。先輩に聞いても曖昧な感じで、私は本を調べたりもせず、「あぁ、看護師って日常のお世話だけで病気そのものはどうすることもできないんだなぁ……」と無力感を抱いたものでした。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.