発言席
「保健婦」への偏見
廣津留 珙子
1
1福岡市南保健所
pp.877
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207834
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「保健婦の専門性とは?」「公衆衛生看護とは?」。保健婦さんの集まる会で出ないことのほうがめずらしいテーマである。同じように「保健所の専門性とは何か」という議論もよくされている。私自身は,「専門性などないのが保健婦である」「公衆衛生のなかで看護は独立してはいけない」と考えているし,機会があれば発言もする。おかげで愛する保健婦さんたちからは,多分にうとまれている感があるのはつらい。
夏休みの1日,本の整理をしていたら,砂原茂一先生の『ある医療・あるべき医療』(昭和51年出版)が出てきた。10数年ぶりにページをめくっていると,「看護婦ゼネラリスト論」「看護婦—ひとつの偏見にみちた考察」の章が目にとまった。そのなかで先生は,「医療の内容が複雑広汎になり,医師看護婦以外にいわゆる医療関連職種が非常にふえてきた」こと,そして「看護婦はこれらの職種のうち最も専門性の稀薄な職種であることにその特長があり」「看護婦固有の領域をひたすら求めるとすればラッキョウの皮をむくように最後には何も残らなくなることを私は恐れるのである」「看護とはという自己規定・自己主張に血眼になりすぎているように思う」「看護チームという考えはすべての医療職種を含んだ医療チームという概念に解消されなければならないだろう。看護は本来自己完結的なものではなく医療のためのものであり,医療の一部である」と述べておられる。
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