連載 戦前、精神障害者の治療を担っていた民間施設とは・2
幻の施設、東北慈恵院
近藤 等
1
1医療法人朋心会旭山病院
pp.86-91
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100696
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この連載の趣旨は、前回掲載の金川英雄先生が書かれているように、精神医療が現在のように発展する以前に日本の精神障害者がどのような処遇を受けていたかを記録にとどめておくことにあります。一般的に、昔は精神障害者は差別と偏見のもと、虐げられる一方だったと思われがちです。しかし、その時代その時代で、精神障害者を救おうと努力する人々は必ず存在したはずだと私は考えています。精神医療の現状を考えるとき、歴史的背景を知っていることが絶対に必要だと思います。また、「オモテの歴史」だけでなく、忘れ去られていった民間の人々の苦闘を掘り起こし、記録に残しておかなければとも思います。
精神医学史を研究するとき、忘れ去られていた資料につきあたり、再発見する喜びや興奮はなにものにも代えがたいものです。今回の「東北慈恵院」について調べたときもそのような体験をしました。今回は、わかった結果を書くだけではなく、資料をみつけていった体験を皆さんにもなぞっていただこうと考えています。
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