連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・59
本当に家で死にたいですか?
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.110-111
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100448
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「家で何か起こると大変なので」
最近緩和ケア病棟で、しみじみ「自分(あるいは近しい家族)がこの状況だったらどうするだろうなぁ」と考えさせられる場面がありました。その患者さんは頭頸部のがんで、頸動脈近くまで浸潤し、さらに創部が皮膚の表面まで露出しています。常にじわじわと出血し、その量がしばしば増えては、「今度こそ大出血か」と本人も周囲も緊張するのでした。
緩和ケア病棟に来るに際して、彼とその家族は、「今度大出血しても輸血は一切しない」という決断をして入ってきていました。行なっている治療としては、創部の圧迫と包帯交換のみ。その包帯交換も彼がイニシアチブをとっており、自宅で家族が手伝う程度でも十分可能に見えました。
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