連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・49
さまざまな退院
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.110-111
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100038
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「死亡退院」の衝撃
今から約20年前のことです。看護学生として内科病棟に実習に行った際、朝の引き継ぎで患者さんの死亡が報告されました。「昨日は入院3名、退院3名。本日、夜勤帯で○○さんが死亡退院されています」。淡々と入退院の状況を報告する夜勤者の声。これを聞いたとき、「ああそうか。死亡もひとつの退院の形なんだ……」とドキリとしたものです。
実際、病院では死亡も退院数のうち。私が今精神科と兼務して働いている緩和ケア病棟では、ほとんどの退院がこの死亡退院といっていいでしょう。病状が落ち着きいったん退院できる方もおられますが、全体の数から見るとやはり少数です。
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