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事故を起こす患者・起こさない患者
「あの患者さん、また転倒しちゃいました」
「患者のBさん、今度は興奮して窓ガラスを割っちゃいました」
「離院の報告です。外出中に戻って来なくなりました。患者はCさん、今度で3回目です」
精神科で発生する事故はきりがありません。それだけリスクの高い患者が入院しているのだなとは思いますが、こう毎日続く報告に、専任リスクマネジャーとして多少なりとも諦めやら、苛立ちやらを感じてしまいます。しかしながら、そんなことを感じていてはいけない、現場はもっと大変なんだと最前線にいる人たちを思いやって、少しでも役に立つものを提供しようと考えるようにしています。
事故の報告を受けたとき、「またあの患者さんか……」という表現をすることはないですか。それが上記のような報告につながっています。またそのような患者さんは、1つの事故だけでなく、複数の事故を起こしていることもあって、「またあの……」という表現になっているんです。そのようなことから“患者さんの事故を起こす危険性”を入院当初から予測判定できるツールがあればよいのではないかと考えました。そうすれば看護計画は立てやすくなりますからね。
“事故を起こさない患者さん”を考えてみると、比較的疎通性もよく、行動に一貫性があり、症状が安定している患者となるでしょう。それに対して“事故を起こす患者さん”はその逆で、疎通性が悪く、行動が衝動的で、症状が不安定な患者といえます。この“事故を起こす患者さん”の存在が、現場での事故防止対策の中心になることはもうおわかりでしょう。
でもなぜこのような患者さんが事故を起こすのでしょう。1つは複数のリスクが存在しているこ と、もう1つはそのような状態で長期にわたって入院していることが考えられます。複数のリスク、長期入院、そうなるともうお手上げです。でも、何らかの方法を考えて対処しなければなりません。そこで考えたのが(早い!)「精神科リスクアセスメントシート」です。
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