特集 在宅での排泄ケアを見直す
これだけは知っておきたい排便のケア
玉垣 努
1
1神奈川リハビリテーション病院作業療法科
pp.422-428
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901822
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はじめに
排便管理は,当事者もしくは家族にとってセクシャルな問題と同様に人前で公言できず,なおかつ,心底困っている大問題である.便失禁の頻度は尿に比して比較的少ないが,臭気や衛生面において周囲の人を含めて格段の心理的ダメージがある.特に便秘と下痢を繰り返すようなケースでは,腸に機械的な刺激を続けることの問題と肛門周囲の問題があげられる.心理的にも,退行現象や恥知心や屈辱感などのダメージとともに無力感やネガティブな指向の根源になりやすく,外出時の失禁などへの恐怖感や失禁時の他者への申し訳けなさなどにより社会参加の機会も失ってしまう可能性がある.排便管理に関して当事者は,多少困っていても今まで行なってきた生活パターンを変更することに危惧を抱きやすく,改善や今までと異なる方法には手が出しにくい状況にいる.
今回,特に高齢者や障害者の便秘の問題を中心に,排便の基本的なメカニズムから,病院の中ではなく『生活の中でどうすれば良いか』と約10年間試行錯誤してきたアイデアをまとめて紹介する.
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